自律神経は、活動する神経の交感神経と休む神経の副交感神経の2つでなりたっており、体の状態や環境に合わせて体温を調節したり免疫力を高めたりと自動的に自律して働く神経のことです。自律神経失調症とは、過剰なストレスがかかることで交感神経が働き続けている状態になり、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが崩れてしまうことが原因で心身に様々な症状が出る状態のことです。
人によって症状の出方が異なるため診断が難しい病気とも言われています。男女ともに起こり、発症する年齢も赤ちゃんなどの乳幼児から高齢者まで多岐にわたります。
自律神経失調症の原因として、圧倒的に多いのは心理的・社会的ストレスです。赤ちゃんなどの乳幼児の場合は、生まれつきストレスに耐性が少なかったり、溜め込みやすいタイプが多いと言われています。また、真面目で完璧主義なタイプ、責任感が強いタイプの人は、普段から自律神経が過敏になっているため、発症のリスクが高いと言われています。他にも規則な生活習慣やホルモンの分泌異常なども自律神経に影響を及ぼし、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまいます。特に、妊娠・出産や更年期などホルモンバランスが乱れやすい時にストレスを溜め込むと発症のリスクが高まります。
主な症状として、頭痛がする、体がだるい、疲れやすい、動機がする、夜眠れないなど人によって違います。ひとつしか症状が出ない人もいれば、複数の症状が出たり消えたりする人がいることも特徴の一つです。症状が多いため、自分が最も辛い症状に応じた専門の科を受診します。それでも改善しない場合は心療内科や精神科を受診します。精神症状が重い場合は、心理療法も必要になるため可能ならばカウンセリングを併設している病院を選びます。
検査をしても病気や異常が認められない場合は、自律神経失調症として診断されやすいですが、実際は神経症やうつ病などからくる症状の場合もあります。脊髄小脳変性症などのように自律神経がおかされることで組織などに異常が発生するタイプと先天的に自律神経系に障害があるタイプもいます。どちらも発汗や体温の調節不能、性欲減退、低血圧などの症状があらわれます。また、特に原因がみつからないまま局所的な自律神経障害があらわれるレイノー病やクインケ浮腫などの特殊な病気もあります。脊髄小脳変性症などの場合は、脳神経科などを受診することになります。
治療は、ストレスなどの心理的な要素が大きく関わっている病気のため、薬で症状をある程度安定させてから、心理療法やカウンセリングを行うことが多いです。再発を繰り返さないためにも、薬物療法やカウンセリングとあわせて生活習慣や食生活を見直すことも大切です。特に、食生活はストレスに強い体を作るためには特に重要な要素になるため、規則正しい食事と合わせてビタミンBやカルシウム、鉄分などの有効成分を摂ることも心がけることです。