ピック病

突然の言葉の異常や、片側のまひは119番へ

急に言葉が出ない、うまく話せない、顔や手足の片側が動きにくい、意識がおかしいときは119番へ連絡してください。すでに別の病気で通院している場合も、急な変化を普段の症状と決めつけないでください。 [1]

「ピック病」は、以前から前頭側頭型認知症に関連して使われてきた名称です。現在、病理学では、タウというたんぱく質を含むピック球がみられる病気を指します。前頭側頭葉変性症のすべてと同じ意味ではありません。ここでは名称の違いを踏まえ、行動や言葉に変化が現れる病気の診断と支援を説明します。 [2] [4]

記憶より先に、行動や言葉の変化が目立つこともある

前頭側頭葉変性症は、脳の前頭葉や側頭葉を中心に神経細胞が損なわれる病気の総称です。行動の抑制がききにくい、意欲が低下する、同じ行動や食べ物にこだわるなどの変化や、言葉の意味が分かりにくくなる症状が現れます。 [2] [3]

初期には記憶が比較的保たれ、家族や職場が「以前と様子が違う」と感じても、病気と気づきにくい場合があります。行動の変化を、性格や心がけの問題だけで判断しないでください。物忘れが少ないから軽い、とも限りません。 [2]

生活での変化と画像から、ほかの病気とも区別する

受診時には、変化が始まった時期、買い物や食事、仕事などでの具体的な出来事を伝えます。言葉や認知機能の評価、MRI・CTなどの画像を用い、アルツハイマー病や精神疾患など、似た症状を示す病気と区別します。行動の一つだけで診断することはできません。 [2] [3]

前頭側頭型認知症という臨床上の診断と、ピック球を確認する病理学上の診断は区別されます。画像で前頭葉や側頭葉が萎縮していることだけで、ピック病の病理まで確定するわけではありません。診断名が何を表しているのか、担当医に説明を受けてください。 [3] [4]

症状への対応と、本人・家族の生活を支える

前頭側頭葉変性症では、病気そのものを治す治療は確立していませんが、行動や言葉の困りごとに応じた支援はできます。保たれている能力やなじみの生活習慣を生かし、刺激や活動の内容、過ごす環境を調整します。方法は、本人の症状と家族の負担に合わせて考えます。 [2]

ピック病・前頭側頭葉変性症の支援を整理した図。
本文で説明している違いや確認事項を整理した図です。実際の診断や治療は、症状と状態に応じて判断します。 参考資料 [2] [3]

行動面の症状を和らげるために薬を検討する場合もあります。ただし、効果と副作用に注意が必要で、アルツハイマー病の薬がそのまま適するとは限りません。使う目的と確認する症状を聞き、自己判断で薬を足したり中止したりしないでください。 [2]

食べ物を急いで口に入れる、転びやすくなる、飲み込みにくくなるといった変化にも気を配ります。利用できる支援や通所サービスなどを、医療機関や地域の窓口に相談してください。本人の行動を家族だけで抑えようとせず、安全と休息を確保する方法を一緒に探します。 [2]

進み方や現れる症状は人によって異なります。趣味や家族との会話があれば発症を防げるとはいえず、病気になった理由を本人や家族の暮らし方に求めないでください。受診後は、今ある症状と、これから必要になる支援を具体的に相談していきます。 [2] [3]

出典と情報確認日

  1. 厚生労働省 こんな時は迷わず119へ(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  2. 難病情報センター 前頭側頭葉変性症(一般利用者向け)(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  3. 難病情報センター 前頭側頭葉変性症(診断・治療指針)(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  4. 日本神経病理学会 前頭側頭型認知症(資料日:2015-02/確認日:2026-10-29)

情報確認日:2026年10月29日。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については医師にご相談ください。