頸動脈狭窄症

急なまひ・言葉・見え方の異常は119番へ

突然、片側の手足や顔が動かしにくくなる、言葉が出ない、片方の目が見えにくくなるといった症状があれば、119番へ連絡してください。数分で元に戻っても、脳梗塞の前触れの可能性があるため、そのまま様子を見ないでください。 [1] [2] [4]

頸動脈狭窄症は、首を通って脳へ血液を送る頸動脈が、動脈硬化などで狭くなった状態です。脳梗塞の原因になる場合がありますが、見つかった全員に手術が必要とは限りません。症状の有無と血管の状態を調べ、薬物治療や生活習慣への対応に加えて、処置が必要かを検討します。 [2] [3]

血管が狭くなることと、血のかたまりが流れること

頸動脈の壁に、脂質などを含む「プラーク」がたまると、血液が通る部分が狭くなります。脳へ届く血流が減るほか、プラークの表面などにできた血のかたまりが脳の血管に流れて詰まると、脳梗塞を起こすことがあります。 [2] [4]

脳のどの部分の血流が妨げられたかによって、片側のまひ、言葉の異常、見え方の異常などが現れます。一時的に症状が消えることもありますが、改善したから安全とは判断できません。一方、症状がなく、健診やほかの検査で狭窄が見つかる場合もあります。 [2] [4]

狭さに加えて、プラークや脳の状態を確かめる

頸動脈エコーは、首の血管の狭さやプラークの性状、血流を調べる検査です。必要に応じてMRI・MRA、造影CT、カテーテルを使う血管撮影などを組み合わせ、脳梗塞の有無や、治療する場所の詳しい形を確認します。 [2] [3]

治療の判断では、狭窄の程度だけでなく、過去にその血管に関係する症状があったか、プラークがどのような状態か、狭い部分がどこにあるかを確かめます。年齢、心臓などの持病、血管の形、処置に伴う危険も合わせて考えます。狭窄率の数字だけを見て、自分で手術の要否を決めることはできません。 [2] [3]

薬物治療を土台に、必要な場合は血管への処置を考える

抗血小板薬などで血のかたまりができにくくする治療や、脂質、血圧、糖尿病の管理、禁煙などが予防の土台になります。どの薬を使うか、どこを目標に管理するかは、症状と持病、出血の危険などに応じて決めます。処置を受けた後も、動脈硬化への対応は続きます。 [2] [3] [4]

頸動脈狭窄症:治療を考える材料を整理した図。
本文で説明している違いや確認事項を整理した図です。実際の診断や治療は、症状と状態に応じて判断します。 参考資料 [2] [3] [4]

頸動脈内膜剝離術(CEA)は、首の血管を手術で開き、内側のプラークを取り除く方法です。頸動脈ステント留置術(CAS)は、カテーテルを使い、狭くなった部分を広げて金属の網状の筒で支える方法です。病変の位置や性状、血管の通り道、全身の状態によって、適する方法が異なります。 [2] [3]

どちらの処置にも、治療中に血のかたまりなどが脳へ流れて起こる脳梗塞や、血流の急な変化による脳出血などの危険があります。ステント治療では血圧低下や脈の変化、造影剤の影響などにも注意が必要です。頭を開けない処置でも、危険がなくなるわけではありません。 [2] [3]

症状がない場合の判断と、治療後の通院

症状のない狭窄では、内科治療を続ける場合と、処置を加える場合の利益と危険を慎重に比べます。症状がある人の方針を、そのまま当てはめることはできません。「今処置を勧める理由は何か」「観察する場合は何を確認するか」を、検査結果と合わせて説明してもらってください。 [2] [3]

通院では、狭窄の進行や、処置を受けた部分が再び狭くなっていないかを確認します。血のかたまりを防ぐ薬は、自己判断で止めると危険な場合があります。ほかの手術や歯科治療を受けるときも、処方した医師と治療する医療機関の両方に服薬内容を伝えてください。 [3] [4]

脳の血管が詰まった場合の診療は、脳梗塞の症状と治療で解説しています。

症状が短時間で消えた場合については、一過性脳虚血発作(TIA)も参照してください。

出典と情報確認日

  1. 厚生労働省 こんな時は迷わず119へ(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  2. 京都大学医学部附属病院 脳神経外科 頸動脈狭窄症(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  3. 日本脳神経血管内治療学会 頸動脈ステント留置術(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  4. 国立循環器病研究センター 脳卒中(資料日:2026-09-23/確認日:2026-10-29)
  5. 日本血栓止血学会 血小板血栓形成機構(資料日:2015-09-18/確認日:2026-10-29)

情報確認日:2026年10月29日。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については医師にご相談ください。