慢性硬膜下血腫

急なまひや意識の異常があるときは119番へ

突然、片側の手足が動かしにくくなった、言葉が出ない、呼びかけへの反応がおかしい、意識がないときは、119番へ連絡してください。激しい頭痛や急な強いふらつきも、救急の対応が必要です。「慢性」という病名がついていても、急に悪化した症状を自宅で様子見しないでください。 [1] [3]

転んだ直後は普段どおりでも、時間がたってから頭痛や歩きにくさ、物忘れなどが現れることがあります。慢性硬膜下血腫では、脳の外側にたまった血液が脳を圧迫します。頭を強く打った覚えがなくても、いつもと違う変化が続くときは受診が必要です。 [3] [4]

頭を打った後、時間をおいて現れる症状

慢性硬膜下血腫は、脳を包む硬膜の内側に、液体状の血液が少しずつたまる病気です。血腫は脳の外側にあり、脳を圧迫して症状を起こします。脳の組織内に出血する脳出血とは、血液がたまる場所が異なります。 [2] [3]

転倒や軽い頭部打撲の後、数週間から数か月をかけて症状が出ることがあります。打った直後に大きな異常がなくても、後から血腫がたまる場合があります。また、はっきりしたけがの記憶がない人にも起こります。打撲を覚えていないことだけでは否定できません。 [3] [4]

慢性硬膜下血腫:時間がたって現れる変化を整理した図。
本文で説明している違いや確認事項を整理した図です。実際の診断や治療は、症状と状態に応じて判断します。 参考資料 [2] [3] [4] [5]

頭痛のほか、手足に力が入りにくい、ふらついて歩きにくい、ぼんやりする、物忘れや性格の変化が目立つ、といった症状で気づくことがあります。家族が「最近、動作や受け答えが変わった」と感じて受診につながる場合もあります。年齢のせいと決めつけず、以前との違いや、いつから変化したかを医師に伝えてください。 [2] [3] [5]

高齢者に多く、抗凝固薬や抗血小板薬など、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人や、飲酒量が多い人では発症しやすいとされています。ただし、若い人にも起こり得る病気です。受診時には、転倒や打撲の経過と、服用中の薬を分かる範囲で伝えてください。 [5] [4]

CT・MRIで確かめ、経過観察か手術を選ぶ

診断には頭部CTやMRIを用い、血腫の場所や大きさ、脳への圧迫などを確認します。片側だけでなく、頭の両側に血腫がたまる場合もあります。症状の経過と診察、画像を合わせて、治療を急ぐ必要があるかを判断します。 [2] [4]

血腫が少なく、症状がない場合などには、自然に吸収されるかを経過観察することがあります。観察を選んだときも、再検査の予定や、どのような変化があれば早く受診するかを確認しておきましょう。血腫が大きくなる場合や、まひなどの症状が出ている場合には手術を検討します。 [4]

代表的な手術は、頭蓋骨に小さな穴を開け、たまった血液を排出する穿頭血腫除去・ドレナージです。細い管を一時的に置くこともあり、脳への圧迫を軽くすることを目指します。局所麻酔で行う場合がありますが、麻酔や管を置く期間、入院日数は本人の状態や治療内容によって異なります。 [2] [4]

血腫が固まって小さな穴から十分に取り除けない場合や、再発を繰り返す場合などには、開頭して血腫を取り除く方法を選ぶこともあります。「小さな穴からの手術で済むか」は、画像やこれまでの経過を踏まえて担当医と確認します。 [4]

治療後も再発に注意する

血腫による圧迫が軽くなると、症状の改善が期待できます。ただし、回復の程度や退院までの経過は人によって異なります。手術を受けたことだけで、その後の症状を気にしなくてよくなるわけではありません。歩行や生活で必要な支援と、通院・検査の予定を確認してください。 [3] [2]

一度取り除いた後にも血液が再びたまり、追加の治療が必要になる場合があります。頭痛や歩きにくさ、手足の動き、受け答えなどに変化があれば、治療を受けた医療機関へ早めに連絡してください。急なまひや意識の異常があるときは、次の予約日を待たず119番へ連絡します。 [3] [5] [1]

再発を繰り返す場合などには、中硬膜動脈塞栓術というカテーテル治療を検討することがあります。血腫を囲む膜に関わる血管への血流を減らし、そこからの出血を抑えることを目指す治療です。たまった血液を直接取り出す穿頭手術とは目的が異なり、すべての人が最初からこの治療を受けるわけではありません。 [5]

塞栓術にも、血管の状態によってカテーテルを進められない場合や、脳梗塞・神経障害などの危険があります。追加治療を提案されたら、何を目的に行うのか、ほかの選択肢と比べてどのような利点と危険があるかを確認しましょう。退院後の服薬の扱いや、転倒を防ぐための注意も、本人の状態に合わせて医療チームと相談してください。 [5]

出典と情報確認日

  1. 厚生労働省 こんな時は迷わず119へ(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  2. 慶應義塾大学病院 KOMPAS 慢性硬膜下血腫(資料日:2025-05-20/確認日:2026-10-29)
  3. 神戸大学医学部附属病院 脳神経外科 頭部外傷(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  4. 東京慈恵会医科大学附属病院 脳神経外科 慢性硬膜下血腫(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  5. 日本脳神経血管内治療学会 慢性硬膜下血腫(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  6. 慶應義塾大学病院 KOMPAS 急性硬膜下血腫(資料日:2025-05-16/確認日:2026-10-29)

情報確認日:2026年10月29日。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については医師にご相談ください。