硬膜下血腫

頭を打った後の意識の変化や急なまひは119番へ

頭を打った後に反応が鈍くなる、意識がおかしい、急に手足が動かしにくくなる、頭痛が強くなって繰り返し吐くときは、119番へ連絡してください。受傷直後に話せていた場合も、後から悪化することがあります。受傷した時刻や飲んでいる薬を、救急隊や医師に伝えてください。 [1] [2] [6]

硬膜下血腫は、脳を包む硬膜の内側、脳の表面との間に血液がたまった状態です。頭を打った直後などに急速に悪化する急性のものと、時間をかけて血腫が大きくなる慢性のものでは、症状や治療が異なります。「硬膜下血腫」という病名だけで、軽い病気かどうかは判断できません。 [2] [3] [4]

急性と慢性では、現れ方と危険が異なる

脳の外側には、硬膜、くも膜、軟膜という膜があります。硬膜下血腫は硬膜の内側にできる血腫で、脳の組織の中に出血する脳出血や、頭蓋骨と硬膜の間に血液がたまる硬膜外血腫とは場所が異なります。血腫が大きくなると、脳を圧迫します。 [2] [4]

硬膜の内側と脳の外側の間に血腫がたまり、脳を圧迫する位置を示した断面模式図。
血腫ができる位置を示した模式図です。急性・慢性の経過や、血腫の広がり、重症度を表したものではありません。 参考資料 [2] [4]

急性硬膜下血腫は、交通事故や転落などの頭部外傷に伴って起こり、脳挫傷などの脳そのものの損傷を伴う場合があります。血腫が急に増えたり、脳の腫れが進んだりすると、短時間で意識の障害が強くなることがあります。初めは会話ができていても、その後の変化に注意が必要です。 [2] [6]

慢性硬膜下血腫は、軽い打撲などの後、時間をかけて血液がたまり、頭痛、歩きにくさ、片側の力の入りにくさ、反応の鈍さなどで気づかれることがあります。本人が頭を打ったことを覚えていない場合もあります。急性と慢性は経過や仕組みに違いがあり、同じ治療で済むとは限りません。 [3] [4]

CTで血腫と脳の圧迫を確認する

CTなどの画像検査で、血腫の位置や大きさ、脳が圧迫されている程度を確認します。画像だけでなく、意識の状態、まひの有無、時間とともに悪化しているかも治療の判断材料です。状況に応じて画像検査を繰り返し、変化を確かめます。 [2] [3] [4]

一度診察を受けた後でも、新しく頭痛が強くなる、歩きにくくなる、反応が鈍くなるなどの変化があれば、診察を受けた医療機関へ速やかに連絡してください。急なまひや意識の異常、強い頭痛と繰り返す嘔吐は、冒頭の救急案内に従って対応します。血液を固まりにくくする薬を使っている場合は、その内容も伝えてください。 [2] [3] [6]

状態に応じた治療と、回復後の支援

急性硬膜下血腫で強い圧迫や症状の悪化がある場合などは、緊急に頭を開け、血腫を取り除いて出血を止める手術を行います。脳の腫れが強い場合には、圧迫を減らす処置を加えることもあります。一方、血腫が小さく状態が安定している場合には、入院管理などのもとで経過をみる場合があります。 [2] [4] [6]

慢性硬膜下血腫では、症状と血腫の大きさなどをみて、経過観察か手術かを判断します。手術が必要な場合は、頭蓋骨に小さな穴を開けて血腫を排出する穿頭ドレナージ術がよく行われます。ただし、血腫の状態や再発などによっては、別の手術が必要になる場合もあります。 [3] [5]

回復の見通しは、血腫を取り除けたかに加え、脳そのものの損傷や、治療前の意識・まひの程度、全身の状態などに左右されます。手術後に症状が改善する場合も、リハビリや生活の支援が必要になる場合もあります。慢性硬膜下血腫は再発することもあるため、症状が軽くなった後も指示された診察を続けてください。 [2] [3] [4]

慢性の症状や通院、治療後の注意については、慢性硬膜下血腫の解説で詳しく説明しています。

出典と情報確認日

  1. 厚生労働省 こんな時は迷わず119へ(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  2. 慶應義塾大学病院 KOMPAS 急性硬膜下血腫(資料日:2025-05-16/確認日:2026-10-29)
  3. 慶應義塾大学病院 KOMPAS 慢性硬膜下血腫(資料日:2025-05-20/確認日:2026-10-29)
  4. 神戸大学医学部附属病院 脳神経外科 頭部外傷(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  5. 東京慈恵会医科大学附属病院 脳神経外科 慢性硬膜下血腫(資料日:表示日不明/確認日:2026-10-29)
  6. 済生会 急性硬膜下血腫(資料日:2020-02-05/確認日:2026-10-29)

情報確認日:2026年10月29日。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療については医師にご相談ください。