某国営放送にて、毎週月曜日放送のプロフェッショナルを特集した番組で登場したことがある神の手を持つといわれる脳神経外科医がいます。それが坂井信幸氏です。坂井信幸氏は、現在先端医療センター脳神経研究グループ脳血管内治療部部長と神戸市立中央市民病院の脳卒中センター医長を兼任されている人物で、頭にメスを入れる開頭手術をせずに、マイクロカテーテルといわれる細い管を血管に入れて治療する脳血管内治療の第一人者と言われています。

1984年に関西医科大学を卒業し、1991年にはアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校に2年間留学し、帰国後には、関西医科大学医学博士となり福徳医学会病院部長に就任しました。その3年後の1996年からは京都大学で2年間の医員を勤めて、国立循環器病センター医員となり、2000年には国立循環器病センター脳神経外科医長となっています。

また、翌年の2001年より神戸市立医療センター中央市民病院医長となり、2002年からは先端医療センター脳血管内治療部部長も兼務しています。とりわけ兵庫県神戸市中央区の神戸ポートライナー医療センター前駅の駅前にある先端医療センターは標準的な医療では対応困難な疾病に対する最先端の医療として、がん治療、映像医療、再生治療などを行っています。

また神戸市立医療センター中央市民病院は、先端医療センターとは敷地を隣接した地にあります。先端医療センターを併設する先端医療センター病院は、病床数60という小規模な病院ですが、診療科目は、細胞治療科・総合腫瘍科・ 脳血管内治療科・放射線治療科・PET診療部・映像診療科・血管再生科など専門診療科目のみの病院となっています。

一方、神戸市立医療センター中央市民病院は病床数500以上の地域医療を担う拠点であり、診療科目は内科系の各専門診療科目、外科系の各診療科目だけでなく、眼科、皮膚科、耳鼻咽喉科、歯科にいたる総合病院で、とりわけ小児科では新生児専門診療科目まで備えています。市民病院の敷地が広いので、ドアツードアでは100mほど離れています。

坂井信幸医師が専門とするは、カテーテルを使った脳血管内治療は、マイクロカテーテルを血管に入れ、カテーテルから押し出されるコイルにより、脳の瘤を埋めるという施術で、わずか1mというぶれで脳の血管や動脈瘤を破いてしまうという繊細で難しい施術といわれており、それが神の手といわれるゆえんになっています。
通常、脳神経外科医の動脈瘤手術での血管内治療は、年間100ほどの手術症例があれば5本の指に入るといわれる中で、坂井信幸医師は年間400以上もの手術症例をこなしています。

現在、先端医療センター病院脳血管内治療科では週2回の外来も行っており、神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科でも週1回の外来による診療も行っています。また診療や手術活動のかたわら、脳血管内治療における塞栓物質の開発や頸動脈ステント留置術用プロテクションデバイスの開発など、治療に欠かせない機器や素材のプロデュースも行っています。