あなたは、「ギラン・バレー症候群」という病気を知っていますか?名前は聞いたことがあるような気がするけれど、どんな病気かは知らない、という人も多いでしょう。風邪のような症状がずっと続く、手足に力が入らなくなってきた、そんな人はこの病気の可能性があるので注意が必要です。

ギラン・バレー症候群とは、神経の中でも主に運動神経を傷害する病気のことをいいます。運動障害だけでなく、感覚神経にまで障害をきたしてしまうこともある病気です。この病気は、女性よりも男性の方がかかりやすいと言われています。小児から高齢者まで幅広い年代で発症します。とても珍しい病気で、日本では年間10万人に1~2人がこの病気を発病します。はっきりとした原因はまだ不明です。しかし、有力な説として、本来であれば身体を守るはずの免疫システムが、何らかの原因によって身体の神経細胞にダメージを与えてしまうことによってこの病気を発病してしまうという説があります。

この病気の主な特徴としては、まず徐々に手足に力が入らなくなっていきます。手足のしびれ感や感覚が鈍くなってしまうこともあります。そのため自力で歩けなくなったりしてしまうケースも少なくありません。また、胸を大きく動かすことが出来ず、呼吸ができなくなります。そして、深部反射が消失し、膝頭をたたいたときに足が勝手に動かなくなります。両足の症状から始まることが多く、徐々に体から手の方に症状が進行していきます。筋力の低下は急速に進んでいき、ほとんどの場合左右ともに症状が現れます。手足の動きだけでなく、顔の動きや目の動き、舌の動きも悪くなってしまうこともあります。また、不整脈や血圧の変動を伴う場合もあります。

このように、この病気には多彩な症状があり人それぞれ症状が違うので、診断がとても難しい病気です。
MRIやCT検査ではこの病気を診断することはできません。脳脊髄検査や電気生理学的検査などを行う必要があります。脳脊髄検査では、頭蓋内にある髄液を腰から採取して検査します。そのときには局部麻酔をして行うので、痛みはそんなに感じません。健康保険が適用されるので価格もそれほど高くはありません。電気生理学的検査は、手の神経に細い針を刺して電気刺激を与えて、神経から脳に伝わるスピードを測定する検査です。この神経の伝わるスピードが低下していたら、ギラン・バレー症候群の疑いが強くなります。この検査にも健康保険が適用されます。

残念ながら、現在の医学ではこの病気に対する有効な治療法はありません。しかし、だいたい1か月ほどで症状は自然と回復に向かいます。そして6か月~12か月ほどでおよそ8割の患者さんが完治することが出来ます。とはいえ後遺症を残したり亡くなってしまう可能性も無いわけではないので、症状がピークに達する1か月間は全身状態の徹底した管理がとっても大切になってきます。もしもこの病気なのでは?と思う節があるのならば、早めに専門病院を受診して検査を受けましょう。