脳の病気のひとつとして重症筋無力症があります。これは厚生労働省が定める特定疾患に定められています。筋肉の力が弱くなることが主な症状であると言えます。眼の周囲の筋肉であれば、まぶたが落ちてくる、ものが二重に見える、目が疲れやすい、まぶしいなどの症状があります。口の周りの筋肉においては食べ物が噛みにくい、飲み込みにくい、唾があふれるなどの症状があります。顔の筋肉においては表情を作りにくいという症状があります。また、手足の筋肉においてはペンなどが持ちにくくなることから書きにくくなることや洗濯物を干しにくいなど日常生活に影響が出ることがあります。なお、すべての人が同じ症状を発症するとは限りません。また、その症状の重さもさまざまなものとなっています。また、同じ筋肉を長い時間使用していると症状が現れて、休憩することによって回復することもあります。なお、特徴としては夕方に症状が強くなる傾向があります。人体においてはアセチルコリンリセプターと呼ばれるものがあります。アセチルコリンリセプターは脳からの刺激を神経を通して筋肉に伝えるという役割があります。重症筋無力症の患者においては体内において抗アセチルコリンリセプター抗体と呼ばれる抗体があり、アセチルコリンリセプターと結合しています。そのため、筋肉に対して神経からの刺激が伝わりにくくなっています。なぜ抗アセチルコリンリセプター抗体が生成されるのかは分かっていません。このように自分の体に対する抗体による疾患のことを自己免疫疾患と呼びます。この疾患の診断においてはまず筋肉を使用して休むと回復するということ、筋電図に特徴的な所見があること、そして、血清中に抗アセチルコリン受容体抗体があることで判断します。特に抗アセチルコリン受容体はこの疾患における特徴的なものとなっていて、正常であればほとんど検出されません。なお、適切な治療を行うことによって症状は回復して日常生活を行うことができます。では、どのような治療が行われているのかというと、薬剤を投与する治療があります。使用されている薬剤としては抗コリンエステラーゼ剤があります。抗コリンエステラーゼ剤を使用することによって筋肉を収縮しやすくする働きが期待できます。副作用としてはおなかがごろごろなることや下痢などがあります。また、抗コリンエステラーゼ剤は過剰に投与すると効果がなくなることから自己判断で投与量を増やすことは避けるべきです。また、ステロイドも使用されます。免疫抑制作用や一時的な筋力増強の効果があります。また、重症筋無力症は胸腺に異常がある場合もあります。そのため、治療のひとつとして胸腺を摘出することもあります。また、このような自己免疫疾患においては自然に回復したり悪化したりします。そのため、悪化しないように心がけることも回復するために非常に大事なことであると言えます。そのため、視野を外に向けてポジティブであることも大事なことであると言えます。