医療法人財団健貢会東京クリニック脳神経外科の医師堀智勝先生は、1944年に東京都に生まれ、1962年に東京教育大学附属駒場高校卒業後、東京大学理科Ⅲ類に入学、1968年に東京大学医学部医学科を卒業。虎の門病院常勤嘱託医補、東京大学医学部附属病院研修医、東京警察病院レジデント、東京都立駒込病院医長などを歴任後、1984年からは鳥取大学医学部教授に就任、1998年からは東京女子医科大学脳神経センター主任教授に就任、その後同大学名誉教授に。

現在は機能的脳神経外科の世界的な権威として、東京女子医科大学名誉教授、森山記念病院名誉院長、新百合ヶ丘総合病院名誉院長、そして東京クリニックを始めとした様々な病院における診療活動や後進の指導育成などを行っています。

機能外科とは患者さんの機能的障害を積極的に治療すると分野で、脳神経外科においては例えばてんかんの患者さんの病変部の切除、側頭葉切除、パーキンソン病の震顫・固縮などに対する視床腹外則核の電気凝固治療術などの方法があります。また、激しい痛みを伴ってQOLの低下がみられる患者さんに対しては、深部脳刺激療法(DBS)という、脳深部に電極を埋め込んで刺激を与えるという低侵襲の治療法が行われます。ひと昔前は脳内の特定の部位を破壊する方法で治療が行われていましたが、現在では堀智勝先生を始めとした経験豊富で卓越した手業を持つ医師によるDBSが主流です。

堀先生は既に古希を迎えられましたが、今でも気力体力共に全く衰えることなく、臨床の最前線に立たれています。東京クリニックの脳神経外科はセカンドオピニオン外来ですので、他の病院では治療や手術が難しいと言われた患者さんも積極的に診療されています。

堀智勝先生の主な研究テーマは「下垂体腺腫の病態生理と治療法」「側頭葉の機能と病理組織学的研究」「脳の高次機能を重視した手術法の開発」の3つで、臨床においては脳腫瘍・動脈瘤・てんかんの治療で非常に多大な実績を上げられています。

堀智勝先生と共に東京クリニックの医師として名前を連ねる、脳外科の中でも特に脳腫瘍手術の世界的権威で「神の手」を持つと言われている福島孝徳先生とは東京大学医学部の同級生で、若かりし頃は「1つのベッドを2つにわけて」(堀先生・談)病院に泊まり込みながら2人で様々な症例の研究や手術に取り組み、研鑽を重ねたようです。

今の堀先生もこの頃と変わらぬ情熱を持って医療活動や研究活動に取り組まれていますが、その源泉は「何とか患者さんを治したい」という強い信念があるからだそうです。「脳腫瘍やてんかん、脳血管障害で苦しんでいる患者さんに医療を行うにあたって、若いスタッフと一緒に手術をしていると、まだ少しは自分が役に立つのではないかと思う」ともおっしゃっており、このような病気に悩む患者さんにとって、まさに堀先生は「最後の砦」と言っても過言ではない存在でしょう。