ナルコレプシーとは、睡眠障害の一種で日中に場所や状況を選ばずに強い眠気の発作が起きる脳疾患のことです。日本では、その症状から居眠り病や過眠症とも呼ばれています。一般への知名度が低く、専門医が少ないこともあり患者に対して正しい診断や治療が受けにくいことや周囲の人間からの理解が得られないなど精神的に大きな負担がかかりやすいと言われています。
発症するのは、15歳前後に多く見られ、40歳以上での発症はまれだとされています。症状の特性上、本人が病気だと気付くことが少ないため、発症から確定診断までが長く約15年が平均期間だと言われています。日本では600人に1人程度です。
原因として注目されているのは、視床下部から分泌される神経伝達物質であるオレキシンの欠乏です。マウスの実験では、オレキシン遺伝子を導入したり、脳内に投与することで症状が改善されるという報告もあります。
主な症状として、日中に何度も繰り返してしまう居眠りがほとんど毎日何年間にもわたり継続することです。正常な人でも眠くなる食後の午後の授業や暖房の効いたバスや電車内で座った時、単調な作業を続けている時などはナルコレプシーの人は、容易に眠り込んでしまうと言われています。1時間以上眠ることはまれで、通常は10分から20分程居眠りをすると非常にさっぱりと目が覚めることが特徴です。しかし、一度目が覚めても2時間から3時間ほどで再び眠気に襲われることがあります。この時、体を動かしたりと目を覚まそうとしても効果はほとんどなく、居眠りの途中に他人が呼び起こしたり揺すって動かしたりすると簡単に目覚めることも特徴の一つです。前日に十分な睡眠時間をとっていても、1日に1回から4回程度は居眠りがおこるといわれています。
また、情動脱力障害といって、笑いや喜び、怒りなどの感情により、膝や腰、あご、頬、まぶたなどの体を支える筋肉が突然弛緩してしまうという症状が起こることがあります。発作は、一瞬で終わることが多いですが、数分間持続する場合も有ります。呼吸停止は起きていないですが、全身に力が入らず声も出ないため息苦しさを感じたりします。
他にも、夜間の熟睡が困難になったり、日常的な動作や会話をしていたのにその間の数分から数十分の記憶がない場合があります。また、肥満や頭痛、多汗症、などの合併症がある場合があります。特に、肥満や高齢者の場合は、睡眠時無呼吸症候群を合併することで日中の眠気がます場合もあります。
治療法としては、中枢神経刺激薬を使用することで日中の眠気を抑制することができます。主に、メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリンが使用されます。主流は、モダフィニルで他の2つに比べて依存症の問題がなく肝臓への負担や副作用が少ないことです。
薬は、根本的な治療ではなく対症的な治療のため投薬を中止すると元に戻ってしまいます。また、夜間の睡眠に悪影響を与えないように薬効を翌日に持ち越さないように処方されているため毎日の服用が必要になります。
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