脳出血は、脳の血管が頭の中で破裂して発生する血管疾患で出血の部位によって脳内出血(intracerbral hemorrhage)、脳室内出血(intraventricular hemorrhage)、硬膜外出血(epidural hemorrhage)、硬膜下出血( subdural hemorrhage )、くも膜下出血( subarchnoid hamorrhage )に分けることができます。この中で、臨床でよく経験するのは脳室内出血とくも膜下出血です。
くも膜下出血は、ほとんど自発性くも膜下出血が動脈瘤の破裂によって生じるが、大まかに全人口の約4~5%で動脈瘤が発生し、0.5%は、これにより死亡していると推定されます。脳出血は、のう室内出血を意味します。しかし、多くの場合、大のう皮質の表面に広がってくも膜下出血を伴うか、またはくも膜下出血が大のう半球の奥深くの場所の室内に広がり、出血を伴う形をとることもあります。
のう室内の自発性の出血は、のう卒中患者の約半数を占めるほど頻度が高いです。内出血の2/3が45~75歳に好発し、原因は高血圧が最も多いです。脳出血の危険因子は、年齢分布に応じて異なり、若年層では、動静脈奇形が高い一方、高年層では、高血圧やのう腫瘍による出血がほとんどです。全身疾患のうち、白血病、血友病、再生不良性貧血、ヘパリンなどの抗凝固剤投与の患者で見られます。
くも膜下出血を引き起こす原因は、動脈瘤です。動脈瘤は動脈壁の弾力性のある層(elastic lamina)の先天性欠損に加え、退行性変化が起きて動脈壁が弱くなり、この部位がほおずきのように膨らんだことを言います。動脈瘤は内頸動脈、中のう動脈、前のう動脈、後のう動脈の枝を形成する部位によく発生します。動静脈奇形は、自発性くも膜下出血を引き起こす二番目に一般的な原因であり、他にも動脈剥離、血液疾患、のう腫瘍の二次性出血、抗凝固療法、 methamphetamineやcocaineような薬物の投与によっても、くも膜下出血が起こることがあります。
のう室内出血の症状は、出血部位と出血量に応じて異なりますが、半身麻痺がほとんどで起きて視野欠損が起こることがあり、神経学的欠損症状が数分ないし、数日に渡って行われることもあり、脳出血がのう室に広がれば、圧力が高くなり、意識消失が来ることがあります。特に、呼吸または循環器の中枢がある中心部に出血があれば、徐々に起きる意識の悪化で患者の2/3程度が12時間以内に昏睡に陥り、48時間以内に呼吸麻痺が起き死亡したりします。
くも膜下出血患者の自然経過は、破裂直後の診断前の死亡率が高くなります。つまり、おおむねのう動脈瘤破裂後約1/3は、現場で死亡し、1/3は病院に搬送中に死亡したり、状態が悪くなり手術を受けられず、残りの1/3だけが手術的治療を受けると見られます。破裂した動脈瘤は、24時間以内に再出血する可能性が高く、再出血時の死亡率は50%を超えます。特に、最初の破裂後6時間以内の再出血の可能性が最も高いものとなっています。
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