脳神経外科というと脳腫瘍での開頭クリッピング手術や脳梗塞での血管治療ばかりと思いがちですが、脳と直接繋がる脊髄における各種症状もその治療の範囲に入ります。脊髄腫瘍、頚椎ヘルニア、腰椎ヘルニア、それに変形性頚椎症、脊髄空洞症、頚椎後帯骨化症などもそれに該当します。その脊髄分野の第一人者と呼ばれているのが東京慈恵会医科大学附属病院で脳神経外科診療副部長と中央手術部部長を兼任されている谷諭教授です。

谷諭教授は1979年に東京慈恵会医科大学を卒業し、1981年には脳神経系疾患の専門病院の東京都立神経病院で助手を務め、1982年からは東京慈恵会医科大学附属病院で助手を務めた後、1984年より2年間アメリカのロサンゼルス郊外にあるメディカル専門大学のローマリンダ大学で学び、帰国後は再び東京慈恵会医科大学附属病院で助手を務め、1991年のは母校の東京慈恵会医科大学の講師を兼任し、1999年には同大学准教授兼同病院診療副部長、2004年には同病院中央手術部診療部長、2008年には同大学教授を歴任されたという経歴の持ち主です。

東京慈恵会医科大学附属病院は東京タワーからも程近い港区西新橋にあり、都営三田線御成門駅からは病院の敷地入口までは徒歩1分、JR新橋駅烏森口からは徒歩10分ほどに位置しています。開業以来130年を超える歴史があり、現在病床数1000を超えるマンモス病院です。

内科系、外科系はいうまでもなく耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、小児科、産婦人科から歯科まである総合病院です。特に、都内でも数少ない小児向けの脳神経疾患にも対応しています。さらには、顔面骨・頭蓋骨の観血的移動術においては高度先進医療の特定承認保険医療機関にも認定されています。また、中央区晴海や葛飾区青戸、千葉県柏市や東京都狛江市に支部病院を持ち、首都圏医療の中核の一翼を担っています。

院内の脳神経疾患の治療には脳血管内治療部も供えており、とりわけ谷教授のほか、血管内治療の名医村山雄一教授も在籍したり、また専門医スタッフを18名抱えていることからも、幅広い脳神経疾患に対応しています。また、手術支援システムとして、CTなどの画像診断やナビゲーション手術が可能なハイブリッド手術室を有しており、脊椎や脊髄の血管障害の手術中に行う血管撮影検査装置も完備されており、設備面でも世界有数の充実度です。

特に谷教授が専門とされる脊髄空洞症では、世界でもトップクラスの症例数を誇り、脊髄外科系手術だけでも年間150件前後の症例をこなしています。また、同診療科目全体では、総手術数は年間600件近くも行っています。とりわけ脊髄の病気というと、初見の大抵は一般外科や整形外科、形成外科が行いますが、東京慈恵会医科大学附属病院では、脊椎・脊髄疾患の外来診療では整形外科医と脳神経外科医が協力して行っており、診療科目間の横のつながりが強いのも特徴になっています。ちなみに谷教授も週一日外来を担当しています。